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17:18
上野行きの電車にのる。
ガタンゴトン、ガタンゴトン
手には、プレゼント。銀色のアルミのほうそう。
にぎりつぶさないように、注意。
ざせきにいる、女の子たち。灰色の服、灰色の服。
僕を見て、なにか言っている。
なんだろう。すごく、気になる。気になるけど。
でも、ダメ、ダメ。
大事なプレゼント。
にぎりつぶさないように、注意しないといけない。
マコトさんにそうだんして、いっしょにお昼休み、会社の近くのお店で買ったプレゼント。
お母さん、喜んでくれるかな。すごくドキドキする。
17:43
家についた。
黒いくつ、青いかさ、白いかびん。
「おかえりなさい」
お母さんが、でむかえてくれる。茶色のエプロン。
「ただいま。お母さん、あのね、あのね」
「どうしたの?」
「こ、これ。プレゼント」
「えっ。どうして?」
困ったような顔になるお母さん。ドキドキ。
「だって。今日、お母さんのたんじょうびでしょ」
「そうだけど」
「だから、マコトさんといっしょに買ってきたんだ。はい。今まで、ありがとう」
プレゼントをうけとって、やさしい顔になるお母さん。
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