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時刻は午前6時ぴったり、雪は飛び起きた。
暑くも寒くもないとても快適な季節の朝にも関わらず、身体からは汗が滲み出していて、冷たく湿っぽい寝間着が纏わりついている感覚は、不快極まりないものだった。
先程見た夢はもはや雪にとってはおなじみのものだった。だからといって、その苦く甘い悪夢を夢と片付けることは絶対にできないのだ。
この世には、男と女の性とは別に、フォークとケーキという性が存在する。
フォークは大体が後天性で、ある年齢を境に味覚を失う。それと同時に嗅覚もほとんど機能しなくなる。この年齢は第二次性徴を終えたあたりとか、思春期の終わりかけだとか色々言われるが、大体が成人を迎える前にこういった変化が起こる。
これだけならフォークはただの味覚障害者だが、対をなすケーキの存在がそれだけのものですませてくれない。
ケーキは反対に先天的に生まれるもので、このケーキに該当する人間はフォークにとって、唯一『美味しい』と感じられるものだ。
身体はその髪の毛の先から中身も含めて足のつま先に至るまで、涙も汗も排泄物でさえもフォークにとっては極上の甘露になる。
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