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プロット
精霊と契りを結ぶ血族、彼らは土地に豊饒をもたらし、人々に崇められた
時が過ぎて、血筋は王族となる
精霊はまだいるが、繋がりは薄れ、長らくその姿を現していない
いくつにも分かれた王族のうち、傍流も傍流の田舎の貴族家
第三子ジルフリードは、土地にいた存在と縁を結んだ
相手は精霊ではなかったが、太古の「竜」と契りを交わした能力は王族のものだった
祝福された血筋の証明としてにわかに注目を浴び、田舎から王都へと移動することになった
「竜」はかつて、ヒトを喰らい、同胞を喰らい、数多の国と悪魔を滅ぼし、人類を救った
永い時の果てに強大な英雄の姿は忘れられ、蝕む呪いに不老不死であるはずの身は朽ちかけていた
彼らの契約とは、ジルフリードが苦しむ友を助けようとした結果であった
王族の力は超常の存在を人の手に収まるよう縛るもの
呪いごと力を背負ったジルの片目はしばしば痛み、血を流した
そしてはじめ精霊の再来と浮かれ騒いでいた者たちは「竜」が彼らの望むようなものではないと気付くや、それを罠にかけて殺してしまった
なによりも大切な半身というべき友を奪われ、ジルは国と人すべてを呪った
彼は非力であったが、無力ではなかった
呪いとともに譲り受けた「竜」の残り火
辺りに災いを振り撒きながらジルは国の追手から逃げ、行方知れずとなった
こうして繋がれたけだものが屠られ、ただひとの子は怪物になった。
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