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「……君は、もっとワガママを言ってもいいんだ。自分のことを、知ってほしいと思ってもいいんだ。僕はね、そんな君のことが知りたい。君の言葉を借りるのなら、普通じゃない人なんだ。そんな普通じゃない僕のことは、嫌いかい?」  思い切り首を横に振った。  そんな、嫌いになんてなる訳がないのに。あなたのことが、こんなにも好きなのに。 「一緒なんだ。僕だって、君のことが好きなんだ。確かに絶対なんてものはないかもしれない、けれど少なくとも僕は今君のことを嫌いではないし、君もそうではないって確信しているんだ。そう思えている間は、そのことを信じてもいいって、そうは思わないかい?」  彼の言葉は、少しずつ砕けて私の中へと入り込んできた。  まだ全部は受け止めきれないし、わかっていない。けど、彼にならもう少し近づいて、自分のことを知ってもらってもいいと、普通じゃない私でいてもいいのかもしれないと、そう思えた。 「今は話せない、昔のこと、家族のこと。けど、いつか話すわ。だって、私たちはもう家族なんだから」 「……そうだね、まだまだ新米だけれどね」 「ええ、家族はそうあるべきなんだものね」  何でも話せて、何でも言い合える。  それが家族なのだと私は彼に教わった。  憑き物が落ちたように軽かった。心が、もしかしたら体も。  嬉しそうな私の横で、彼はほんの少し複雑そうな顔をしていた。
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