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でも、内容は誉められた。
お世辞だと思うが、
案外嬉しかったと記憶している。
誤字脱字を直されたのも、
悪い気は全然しなかった。
むしろ嬉しかった。
ちゃんと読んでくれた。
その証拠であるからだ。
今だったら分かる。
先生は忙しい。やることが多い。
そこにもってきて、小学四年生が書いた
物語を読んでくれと言われても、
正直後回しか、もしくは理由をつけて
避けるだろう。
それを真剣に読んでくれた。
三十年経った今、その先生には
ありがとうと言いたい。
因みに、結末は曖昧にしか
覚えていないが、薬は無事に
母親に届けられたのだろう。
当時の原稿は、実家の押し入れに、
今もしまわれている。
二十年近く前に、引っ張り出してみたが、
ちゃんとは読まなかった。
やはり自身が書いたものとはいえ、
小学四年生時に書いた文章を
大人の自分は読む気には
なれなかった。
気恥ずかしさが先に立つ。
多分、今書いている小説も、
数年経ったら、直したくなるのだろう。
実際、そういうものが結構ある。
そして、二作目は中学二年生の時。
学習ノートに数ぺージの小説を書いた。
伝奇小説のようなものである。
大昔、仲間だった者たちが、
ある因果によって、現代に転生し、再び集結し、
世界征服を企む悪の組織を倒すという、
勧善懲悪ものだった。
それを数ぺージ書いたところで、
友達に読んでもらった。
初めて同年代に読んでもらう作品だった。
ドキドキした。
やはり恥ずかしかった。
果たして、友達の反応は、
素っ気なかった。
以来、十年間、僕は何も書かなかった。
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