先輩、足りません!

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「今なんて…!?」 高校生活2日目。 中学時代からの親友---百合岡(ユリオカ) 菜子(ナコ)から、とんでもない話を聞かされる。 「私、椎名先輩と付き合う事になった!」 それは、昼休みのこと。 中庭でお弁当を食べている時の発言だった。 あり得ない話だ。 なぜなら、私も菜子も、昨日この高校に入学したばかりだから。 「なんでいきなり!?……は!昨日放課後いきなりいなくなったのは、会いに行ってたから!?」 確かに昨日、ホームルームが終わった瞬間、菜子が足早に教室から出て行く姿は見た。 でもまさか、その椎名先輩に会いに行っていたとは思っていなかった。 「うん!早く会いたくて!!」 天真爛漫に、菜子は笑顔を見せ、ぱくっと卵焼きを口に運んだ。 「あんたねえ…」 菜子の猪突猛進っぷりにはいつも驚かされる。 半分諦めてはいるが、今回の事は呆れて物も言えない。 「……ごめんね?志帆(シホ)ちゃん…」 頭を抱える私を見て、私の機嫌を損ねてしまったと思ったのか、菜子は謝ってきた。 「別にいいけど…」 機嫌が悪くなった訳ではない。 ただ少し、心配になっただけ。 菜子は考えるより先に体が動くタイプだから、いつか大変な目に合ってしまいそうで。 「それで?聞かせてくれるんでしょ?昨日何があったのか」 とは言え今さら私が憂いても遅いので、恐らく昨日から話したくてうずうずしていた菜子の気持ちを汲み取り、話を本題に移した。 「うん!!あのね…」 ぱあっと菜子の表情は明るくなり、事細かに話し始めた。
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