as~恋に落ちる音~(3) ─迷う─

12/85
前へ
/386ページ
次へ
「ダメだよ。昨日は例の日で疲れ果ててたし、今日はゆっくりさせてあげ……」  言いかけて、言葉を止めた。都が顔を思い切り近づけ、彩音の目をじっと見据えていたからだ。 「み、都ちゃん、近いよ」 「佐京さん、熊さんの話ちゃんと聞いてました?」 「……聞いてた」 「なら、昨日が例の日でも別にいいじゃないですか。それに、二日連続で家に佐京さんがいれば、白嶺さんはすごく嬉しいと思います」  あまりにもハッキリそう言い切る都に、彩音はフッと表情を崩す。  一生懸命に応援してくれる都が可愛くて仕方がない。  彩音は笑みを浮かべながらコクリと頷いた。 「ありがとう、都ちゃん。後で彰に連絡してみる」  そう言うと、都は彩音と猪熊を交互に見つめ、いい仕事をしたと言わんばかりの満足そうな笑みを浮かべた。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1395人が本棚に入れています
本棚に追加