as~恋に落ちる音~(3) ─迷う─

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 ◆◆◆  仕事が終わった後、彩音は軽く食事を済ませ、彰の部屋へ向かう。  あの後、彰にメッセージを入れると仕事と仕事の合間だったらしく、すぐに返事がきた。  『夜に事務所の集まりがあるけど、できるだけ早く帰るから』  彰が所属している事務所では、半期に一度、所属者が全員集まる会合があると聞いていた。  形式ばったものというより、所属者同士の顔合わせや親睦を目的としているので、会合というよりは食事会のようなものらしい。  彰の部屋へ着くと、合鍵で中に入る。  ここに来るのももう何回目だろうか。  お互いのマンションを行き来をするようになって、この部屋にも随分慣れてきて、今では自分の部屋のように寛げた。  彩音はしばらくぼんやりとテレビを見て時間を潰していたが、それにも飽きてきて、自分の音楽プレーヤーを出して曲を聴き始める。 「彰、まだかな……」  音楽を聴きながらソファで微睡んでいるうちに、彩音の意識は徐々に薄れていった。
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