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「今日も来てくれてありがとう。うたた寝するくらい疲れてるのに」
申し訳なさそうな顔をする彰に、彩音は慌てて首を横に振る。
「彰に比べたら全然だよ! それに、私が来たくて来たんだし、気にしないで。うたた寝しちゃったのは……たぶんこの部屋にいると気が緩んじゃうからだと思う……」
「うたた寝するくらい、リラックスできるってこと?」
「うん」
彰は無邪気に微笑むと、「よかった」と小さく呟き、再び彩音に口づけを落とした。
互いの唇が離れ、目が合う。彰がふわりと笑み、彩音もそれにつられて穏やかな笑みを浮かべた。
「昨日疲れてるだろうし、来ない方がいいかもって思ったんだけど……」
何気なしに呟いたセリフに、彰はクイと口角を上げる。
「けど?」
「……」
しまった、と思った。
自分から恥ずかしいセリフを言わなくてはいけない状況を作ってしまったことに、彩音は思わず焦る。
しかし、昼間にした猪熊との会話を思い出した。
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