as~恋に落ちる音~(3) ─迷う─

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 お前が一言『寂しい』って言うだけで、どんだけエネルギーチャージできることか。  目を見てはとても言えそうもないので、目線は下げて早口で呟く。 「最近すごく忙しそうだし、休日もあんまり二人でゆっくりできてないし」 「うん」 「……さっ……寂しいから……とか、思ったり」  ダメだ。「寂しい」という言葉が自分に似合わなすぎて、思わずうわーっと叫び出したくなる。  しばらく無言の彰に恐る恐る視線を遣ると、真剣な眼差しでこちらを見ていた。 「彰……?」  彩音の声に反応するかのように、彰の表情が和らぐ。 「ごめん……。嬉しすぎて固まった」 「何それ」  彰は彩音を解放し、正面を向いてソファに座り直すと、両手を膝を上で組んだ。  そして、ポツポツと話し始める。
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