1396人が本棚に入れています
本棚に追加
終わった話を再び持ち出され、彩音は赤くなった自分の頬を隠すように顔を背ける。
彰は、そんな彩音を再び両腕で抱きしめた。
「来た時にいちいち帰るのが面倒になったら言って」
「帰るのが面倒?」
首を傾げると、彰はパンツのポケットから携帯を取り出し、彩音に見せる。
「ここだと彩音の荷物入れるとちょっと狭いし。もっと広い部屋を探す」
「え……」
「彩音の会社に近いとこだと、相場どれくらいなのかな……」
嬉々とした顔でネット検索を始める彰を見て、彩音は思わぬ展開に戸惑いつつも何だか楽しくなってきた。今日ここへ来てよかったと、しみじみ感じる。
「猪熊さんと都ちゃんに感謝」
彰には聞こえないようこっそりと呟き、彩音は物件探しに夢中になる彰を幸せな気持ちで見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!