as~恋に落ちる音~(3) ─迷う─

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「……何ですか?」 「これが俺のIDなんで、佐京さんから何か送ってください。ホントは佐京さんのID聞いて登録できたらいいんですけど、そのやり方はよくわかんなくて」 「はぁ……」  事務所を通してしか連絡しないのに登録する必要性があるのかと思ったが、とりあえず彩音は言われたとおりに此花のIDにメッセージを送った。 『佐京です。今日はお疲れ様でした』 「ありがとうございます! やったー! これでいつでも佐京さんに連絡取れますね!」 「え!?」  もしかして、個人的に連絡を寄越すということなのだろうか。 「あの、此花さん?」 「白嶺さんは佐京さんの連絡先を知ってるみたいだから、俺も教えてほしいって言ったんですけど、まぁさすがに本人の許可なしでは無理ですよね。だから許可を取ってほしいってお願いしてたんですけど、なんだかんだとはぐらかされるばかりで……。白嶺さん、絶対教えたくないんだなって思ったから、じゃあ自分で聞こうって思って」  確かに、彰からは教えないだろう。彩音が許可を出したとしても教えないような気がする。
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