as~恋に落ちる音~(3) ─迷う─

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「白嶺さんって、他の人とある程度の距離を保ちながらコミュニケーションを取るんですよ。仕事で付き合いはあっても、プライベートではほとんどない。メッセージのやり取りもホント味気ないというか……事務的? みたいな。でも、俺見ちゃったんですよ」 「……何を?」  此花は一歩近づき、声のボリュームを落として囁くように言う。 「白嶺さんがすっごい嬉しそうな顔で携帯見てるのを。あんな顔見たことなかったから驚いて! 誰かとメッセージしてるのはわかったんで、白嶺さんに聞いたんですけど、もちろん教えてくれなくて」  それもわかる。彰はよほど心を許さない限り、そういったことをおいそれと他人に教えることはしない。 「だから、あの手この手を駆使して、一瞬だけ盗み見ました!」  彩音は目を見開いて驚いた。  あの警戒心の強い彰の一瞬の隙をつくとは……。 「此花さん、白嶺さんに怒られちゃいますよ?」 「一応バレてないから大丈夫です。あ、佐京さん、バラさないでくださいね?」  どうしたものかと思いつつ、彩音は仕方なくコクンと頷く。
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