1396人が本棚に入れています
本棚に追加
「白嶺さんって、他の人とある程度の距離を保ちながらコミュニケーションを取るんですよ。仕事で付き合いはあっても、プライベートではほとんどない。メッセージのやり取りもホント味気ないというか……事務的? みたいな。でも、俺見ちゃったんですよ」
「……何を?」
此花は一歩近づき、声のボリュームを落として囁くように言う。
「白嶺さんがすっごい嬉しそうな顔で携帯見てるのを。あんな顔見たことなかったから驚いて! 誰かとメッセージしてるのはわかったんで、白嶺さんに聞いたんですけど、もちろん教えてくれなくて」
それもわかる。彰はよほど心を許さない限り、そういったことをおいそれと他人に教えることはしない。
「だから、あの手この手を駆使して、一瞬だけ盗み見ました!」
彩音は目を見開いて驚いた。
あの警戒心の強い彰の一瞬の隙をつくとは……。
「此花さん、白嶺さんに怒られちゃいますよ?」
「一応バレてないから大丈夫です。あ、佐京さん、バラさないでくださいね?」
どうしたものかと思いつつ、彩音は仕方なくコクンと頷く。
最初のコメントを投稿しよう!