as~恋に落ちる音~(3) ─迷う─

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「だったら、俺も負けてられないなって」 「……え?」  此花の言葉に頭がフリーズする。  ……負けてられない? 意味が全くわからない。 「俺、佐京さんを気に入っちゃったんですよね。好きになったみたいです」 「は……はぁっ!?」  いきなりのドストレートな告白に、ただ目を見開いて、金魚のように口をパクパクさせることしかできない。 「あの収録前、俺と梨花ちゃんとで噂の佐京さんのことを聞いたんですよ。あまり話してはくれなかったんですが、白嶺さんの顔がいつもよりずっと優しくなって、それが印象的すぎて、白嶺さんにそんな顔させる佐京さんってどんな人なんだろうって興味津々で」 「いや……そんな大層な……」 「そんなことないですよ。実際に会って、あぁなるほどなって思いました」  此花は彩音と彰が付き合っているとまでは思っていない。  どのタイミングで打ち明ければいいのかとオロオロしているうちに、此花に手を握られ、ハッとした。
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