as~恋に落ちる音~(3) ─迷う─

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「いきなり付き合ってくださいって言っても難しいだろうし、まずは友達から。……ダメですか?」 「えっと……」  これは一番断りづらいパターンではないか。  友達になるのも嫌というほどの理由など、見つかる訳がない。  こうなると、もうタイミング云々言っている場合ではない。はっきりと言わなければどうにもならない。  彩音が彰とのことを打ち明けようと口を開くと、その前に此花の口から衝撃的な言葉が飛び出した。 「もう佐京さんはわかってると思うんですけど、梨花ちゃん、白嶺さんのことが好きなんですよね。それで、今アニメの現場で長時間一緒にいるし、猛アタック中なんですよ」 「……」  梨花が彰を好きなことは、あの飲み会ですでにわかっていた。  しかし、現場でそんなことになっているとは知らなかった。彰は一言もそんなことを言っていなかった。  冷静に考えると、彰にその気はないのだし、何も自分からそんなことを言う必要はない。  ただ、此花の告白もあって頭が混乱していた彩音は、そのことに少なからずショックを受けていた。
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