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「白嶺さん、お疲れ様です。ありがとうございました」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
スタジオ内の待合室で、クライアントと彰が再び挨拶を交わしていた。
広報の女性も瞳をキラキラさせて、それに加わっている。
女らしいシルエットのスーツに、高いヒール、ヘアメイクもバッチリだ。
広報といっても色々な仕事があるのだろうが、おそらく彼女は表に出るタイプだろう。
いつも綺麗にしているのだろうが、おそらく今日はいつも以上に念入りなんだろうなぁ、彩音はそんなことをぼんやり考えながら、最終チェックをザッと済ませる。
このチェックは念のため、だ。
収録中は、もちろん神経を尖らせて原稿を確認しながら進めている。
しかし、万が一ミスが発覚した場合、ナレーターに再度収録を依頼しなくてはいけなくなる。時間も手間も、ついでにお金もかかるため、こちらのミスでの録り直しは極力避けたい。
それに、今回は彰だ。多忙な彼のスケジュールを調整するのは並大抵ではない。
しかし、幸いなことに今回の仕事はCM用の短いセリフのみ。チェックもあっという間に終わってしまう。
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