三、肖像画

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 *** 「今日は描かないよ」 「え?」 「こないだ描いたのは、印象の絵。今度のは、象徴の絵だから」  孝は椅子(いす)に座らされ、紅茶を振る舞われた。 「なんか、飲みにくいな」 「気にしないで。見てるだけ」 「だから飲みにくいんだって」 「……なら、()わろっか」  彼女はそう言うと、孝の飲みかけのカップに口をつけ、残りをすすった。  そして、 「なんか話して」 「え?」 「なんでもいい。自分のこと。心に残った想い出でも、今の感情でも」  今の感情……。  孝は少し迷ったが、幼い頃の想い出話をすることにした。
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