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「今日は描かないよ」
「え?」
「こないだ描いたのは、印象の絵。今度のは、象徴の絵だから」
孝は椅子に座らされ、紅茶を振る舞われた。
「なんか、飲みにくいな」
「気にしないで。見てるだけ」
「だから飲みにくいんだって」
「……なら、代わろっか」
彼女はそう言うと、孝の飲みかけのカップに口をつけ、残りをすすった。
そして、
「なんか話して」
「え?」
「なんでもいい。自分のこと。心に残った想い出でも、今の感情でも」
今の感情……。
孝は少し迷ったが、幼い頃の想い出話をすることにした。
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