1 魔法使いとの出会い

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ふと、上を見上げてみた。 「うわっ」 「ん?あ、ごめんね。屋上に戻るまで、暫くこの体制のままなんだけど、我慢してて」 「は、はい…。」 私は頷くしかできなかった。何故なら、私を助けてくれたであろう男性(声で男性だと勝手に判断したが、暗くて顔がよく見えない)と私の顔の距離が近いからだ。近いというか、近すぎる。なんというか、少しでも身動きすると鼻と鼻の先がくっつきそう…、この例えの方が分かりやすく、正しい。 今の私と男性の体制は端から見ると、少女漫画なんかに出てくる、お姫様だっこ、というやつだ。非常に恥ずかしい。誰も見ていないだろうけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。自慢じゃないが、私は生まれてこの方、彼氏という存在が居たことがない。そのため、男性とこういう体制なのは、少々、刺激が強すぎるのだ。ただでさえ、私は男子と関わることが極めて少ないというのに、飛び降りたら、こんなハプニングがあるものだから、されるがままの状態である。
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