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当然国から認められておらず兵士や、冒険者ギルドと呼ばれる組織が捜索を行っている。
発見されれば、まず刑罰は免れないだろう。
(裏便利屋の仕事と思われる痕跡が、王都を中心に各地に……。最近の痕跡は……四日前で王都から離れた町。紙だから情報伝わるの遅いなぁ……ネットニュースとかだとすぐなのに……)
書類を見ながら、記載されている町の名前を広げた地図と照らし合わせていく。
アイリスの故郷の町から、現在隠れ家がある町まで山を迂回するルートを辿ると、二日間を移動に費やして到着する距離だ。
そのことを基準に考え、移動にかかる時間を計算する。
『最後の事件の町と王都は一日あれば着きますね』
(起きてたの?)
『そりゃあ、体が起きてますから寝られませんよ』
(それはごめん。……よし、次の目的地は王都ね)
書類と一緒に地図を折り畳み、リュックにしまう。
既にここを離れる準備は出来ており、食器や服をまとめた箱、冷蔵庫等をムジュンに取り込ませて外で待機させていた。
(機械の時は出来なかったけど、土を素材に使ってるからこそね。便利だけど、いずれは鉄を集めて構築させたいなぁ)
機械のボディを失ったムジュンは現在、呼び出した場所周辺の物質を取り込み、ボディを形成している。
普段なら土を、水辺なら水、といったように完成されたボディがあった地球では発見できなかった特性だ。
よいしょ、と小さなリュックを背負い、ベッドで寝ているシンに近付いて抱え上げる。
「ん……」
「あ、起こしたね、ごめんね」
トントンと背中を軽く叩きながら揺らして再び眠りへと導く。
そのまま外へ出ると、地球と同じ七メートルサイズになったムジュンが浮遊して待機していた。
「モード・フープスター」
町で使った時のような十字型のリングになる。
今回は取り込んでいる物が大きいためか、リングの厚さはかなり太い。
中心に向かって飛び込むと体が浮き、移動を開始する。
明朝までに王都に近付きたいというミライの思考を汲んだムジュンは高度を上げていき、周りの風景が霞むほどの速度で夜空を駆ける。
『さっきも見ましたけど、凄いですねこれ』
「でしょう?ムジュン・フープスターは特殊な反重力システムによって包まれてるから加速による圧を無効化して、更にリングの内部はバリアで守られてるから風の抵抗も受けない」
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