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更に立体地図に赤と青の炎が灯り、ミライらがいる場所には赤が三つと青が一つあった。
炎にも止まっているものと動いているものがあり、王城を含む数箇所で炎が動いている。
「これは王都全体の地図。そして、炎が生物を表していて、赤が女性、青が男性を示してる。怪しそうな所を虱潰しに回るつもりが一発で当たりを引くなんて……運が良いわ」
「す、すごいです!こんな魔法見たことありませんよ!アイリス様は天才です!」
「あー……その様付けも敬語もできればやめてくれないかな……普通に接してほしいなー、なんて」
照れ臭そうに頬を掻きながら、炎を消し、砂を操って袋に戻していく。
コホンと咳払いし、真剣な表情を作り二人の女性に向き直る。
「二人に依頼をしに来たの。内容は私と弟をここに住ませてほしいのと、復讐の手がかりの情報収集。お礼はこちらに」
倉庫から出ると、二人も顔を見合わせて付いてくる。
店の内装は一見道具屋にしか見えず、薬草や薬の瓶、ナイフや収納するための箱といった様々な物が置かれている。
そして、そこに似つかわしくない、大量の金貨や絵画等の美術品が床に散乱していた。
売ればしばらくは遊んで暮らせそうな品々を前にミライは、どうだと得意げな顔で腕を組んで立っている。
開いた口が塞がらないという状態の二人だったが、ハッと我に返るとミライに対して跪く。
「依頼、承諾いたしました。自己紹介が遅れました、私はジェラス。仲が良い方からはジェーンと呼ばれています。こちらはユリエル。以後よろしくお願いします」
「え、あ、う……うん……よろしく……」
跪かれた経験などないため、若干後退りながら、引きつった顔で返事をする。
「居住スペースは二階にありますが……その前にその土の塊はいったい……?」
ガントレットの女性ジェラスが指したのは、溜め込んだ物を出してサイズが縮んだムジュン。
「これはムジュン。私を守る、生涯の相棒。そして……」
カウンターで寝かせていたシンを抱える。
「私と一緒にお世話になるシン。長い付き合いになるわ、よろしくね。早速だけど、二階に上がっていい?ムジュンの中にある物を出したいの」
「案内する。ジェーンは片付け」
「あ、私だけに押し付ける気!?早く戻って来なさいよ!」
ぷんすかと怒るジェラスを無視して、二階に上がって行く。
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