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ギャインッ!と耳をつんざくような音が、未来を現実に引き戻した。
気を抜けばすぐに失いそうな、朦朧とする意識を必死に繋ぎ止め、自身をドーム状に囲む鉄に寄りかかる。
(まだ……倒れるわけにはいかない……!……さっきのは……多分威嚇射撃……。私が死んでるか生きてるかはわからないはず……。なら……)
「いくよ、ムジュン……!」
両足でしっかりと地面を踏みしめ、血が流れる片腕を押さえ、自身を囲む鉄……ムジュンを操作しようとする。
だが、いくら待っても動く気配がない。
「っ……!?どうして……!…………違う……わかってないのは私……ちょっと前に、何か……。……そうか……EMP……!なら……!」
ムジュンに触れ、エネルギーが全体に伝わっていくようなイメージと共に魔力を流していく。
ムジュンはほとんどが機械でできている。
だが、不具合や何らかの原因で異常が発生した時、魔力を流すことでパスを繋ぎ、操作できるように設計してあった。
そして、ムジュンの最大の特徴は、変形機構にある。
「さっきの音から……方向は推測できる……!」
ガゴン、とムジュンが動き始め、外側に細長い筒が何本も伸びていく。
「ファイア!」
周りの地面から吸い上げた土が圧縮され、弾となって細長い筒から連続で放たれる。
時間にして一分ほどだが、その間に放たれた弾は何百にも及び、着弾箇所も抉れいくつもの大小のクレーターができているほどの威力をもっていた。
(……普段ならムジュンがスキャンして、周りの状況を教えてくれるんだけど……今は無理か)
おそるおそるドーム状態を解除し、通常のハート型に戻す。
体を休めるための場所を探そうと一歩踏み出した瞬間、背中に強い衝撃が走り、前のめりに倒れる。
熱さと痛みが体中を駆け巡り、元々限界であった未来は一瞬で意識を失った。
魂が体から抜ける時、主人の死を感知したムジュンは組み込まれていたシステムにより、大気中の魔力を集め大爆発を起こした。
ムジュンが悪用されたり未来の遺体を残しておかないように、機械側でも魔力側でも感知して自壊するように、娘を想った両親が組み込んだプログラム。
その威力は戦場となっていた町周辺が地図から消えるほどであった。
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