第二部・宝玉奪還編

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宿を見つけて部屋に入ると、二人はそれぞれの場所であったことを話し始めた。 「マルタに会って、少しだけ自分のことが分かった気がするよ」  実際に蓬莱で自分の身に起こったことを振り返ると、自分の異端さに改めて気づく。それがマルタと話して確信へと変わった。 「僕、受け入れるように努力することに決めたんだ。自分の神獣のこと・・・」 「・・・そうか」  ただハーネスは黙って話を聞いた。ピエラが自分に対して覚悟を決めてこられたことが、何故か自分のことのように清々しさをもたらした。 「良かったんじゃないか?覚悟を決めたんだろう?」 「うん。もう、迷わないよ。大事なものを守るための力なら、惜しまず求め続けるんだ」  それでいい。言葉にはしなかったが、ハーネス自身も満足気に頷いた。ここまで長らく旅路を来たが、これを機に、新たに再始動できる気がした。 「ふあああぁぁぁ・・・・・そろそろ寝るか・・・・・」  ろくに寝ていなかったせいか、突然眠気が襲ってくる。 「そうだね。お休み、ハーネス殿」 「あぁ、お休み――――」  そのまま眠りの淵に誘われ、ハーネスは眠りに就いた。睡眠欲のないピエラにとっては、この時間が最も長い時だ。無理矢理「寝る」という行為をしなければ眠ることが出来ない。 「神獣、か・・・」  ――――神獣を受け入れれば、自ずと過去は見えてくる――――  マルタは別れ際にそう言い残した。その言葉が頭から離れずにずっと考えてしまう。 (僕に過去が無い限り・・・ずっと孤独なんだ・・・・・・)  一人は嫌だった。深い闇の中、一人で拭えない不安や不満と戦う勇気など、彼にはなかった。常に誰かが傍に居てくれる安心感を、彼は知ってしまったから――――。
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