干支の13

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る直径一メートル程の球体であった。それはオレンジ色に発光していて暖かい光を放っていた。男は今まで見たことの無いその球体に少しの間見惚れていたがハッと我に返り冷静にその球体を観察した。よく見てみると球体は透明の“幕”で包まれていて中でオレンジ色の炎が燃え盛って輝きと熱を放っていた。そして球体の中心には白く輝く八面体の鉱物と思われる石が浮遊している。男はその石の美しさにさっきまでの恐怖と焦りを忘れてその石を手に入れたいという欲求が湧き上がっていた。男は唯一持っていた刃渡り二十センチ程のナイフを球体に突き立てた。するとまたあの揺れが襲って来た。男は再びかがみ、手で頭を庇った。しかし今度の揺れはさっきの揺れよりはるかに強く男の体は宙に舞い男はもうどっちが上か下か分からなくなっていた。そして球体の光が一気に強さを増し球体から炎が溢れ出し、男が今進んで来た方向から凄まじい頸風が襲って来た。 男は轟音の風と灼熱の炎とともにグルグル回転しながら吹き飛ばされた。男は何度も何度も回転してようやく止まった。そこで男は強い光を感じて目を開けるとそこには透き通った青空が広がっていた。大地は砂で覆われていてでどこまでも広く、地平線まで続いていた。そこは男が気を失う前にいた世界だった。 グオォッッ…低くも甲高い唸り声が響き、男は声の方向に目を向けるとそこには美しい巨龍が空高くに飛翔しいた。 7.やるかやられるか     
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