干支の13

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、一本道が塞がってしまった。これでは帰るのがいつになるか分からないぞ。」「キキー、キイキイ!」すると猿が鳴き喚きながら身振り手振りで二人を道脇の獣道へと導き始めたのであった。その獣道は注意して見ないと分からないほどの脇道で男らでは発見できなかったであろう道だった。男らは再び顔を見合わせて笑った。「こいつはたまげた!まさか帰り道まで教わる事になるとは。」「全くだな。本当に利巧なヤツだ。人が猿から進化したという事もうなずけるな。」二人と一匹はしばらく獣道を歩くと高さ十メートルほどの崖見えてきて、そこには高さ三メール、幅二メールほどの洞窟が口を開けていた。「キイキイキキー!」猿は先導して洞窟に入っていった。洞窟は数十メートルほどの長さがあるようで、出口から光が射していた。「まさかこの先が最寄りの町という事はないだろうが、確実にジャングルを抜けている気がするな。」「ああ。こんなに利巧な猿が道案内を しているんだ。遠回りなんかするはずがないだろう。」男らは数十メートルの洞窟を抜けるとそこは窪みになっていた。直径二十メートル、高さ十メートルほどのいかにも人為的に作られた窪みで、ちょうど落とし穴の底にたどり着いたような感じであった。「なんだここは?」男らが呆気にとられていると先ほどまで先導していた猿が隙をついてヒモを振りほどき窪みの上へと逃げて行った。猿が崖の上へと逃げたと同時に今来た洞窟が轟音とともに崩れ落ち、男らは窪みにに閉じ込められてしまった。男らは気が動転しながらキョロキョロと周りを見渡して見ると、人ほどの大きさの二足立ちする猿が窪みの淵をぐるりと取り囲んでいた。猿たちの手には木の棒に石器をくくりつけた鈍器や水晶で粗造りされた短刀を持っていて、ヨダレを垂らしながら今か今かと二人を凝視していた。 10.宇宙の夜明け     
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