干支の13

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何故彼らはそんなにヤツらの事を気にかけ、敵対していたかというとそれは今から五十年ほど前に遡る話である。それまでの歴史では彼らは奴らより知的で有能で頼りにされる存在であった。しかし、五十年前に彼らは初めて数という部分で始めてヤツらに遅れをとったのであった。その年を境に彼らの数はどんどん減少の一途をたどり、今はピーク時の二十分の一ほどの勢力で推移している。そして同じ頃から機械や科学の技術が飛躍的に進歩していき、彼らが担っていた役割の仕事も機械化、省力化されて減少していき今や彼らに託される仕事はほぼ無くなっていたのであった。 一方、ヤツらにはもともと仕事的な役割は無いにひとしかったのだが、ヤツらの数が彼らの数を上回って数の優位に立った頃からヤツらはブームの波に乗った。そしてそのブームは未だに続いていて、三十年ほど前からは絶頂期を迎えていて今に至っている。今ではヤツらの数は五十年前の三十倍にも達していてもはや彼らとの勢力では雲泥の差が生じていた。しかもヤツらはもともと彼らと比べると楽な存在であり、けたたましい轟々をあげながら流れていく激流のごとしこの時代にあっては人々に掛け替えのない癒しをあたえるという役割をヤツらは彼らより手軽に提供出来る存在なのであった。そんな彼らもまだ未来への夢や野望を無くした訳ではなく、虎視眈々と復権への機会をうかがっているのであった…。     
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