干支の13

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オレ様はこの世界で最も優れた存在なのだ。物心ついた時から欲しいものは何でも手に入った。腹が減っても食べたい物を腹一杯食えるので、腹が空いて困ったことなどない。眠たい時には好きなだけ寝て、遊びたい時には好きなだけ遊んでいられる。風邪をひいた時には大勢がオレ様を心配して至れり尽くせりだ。この間もただ気分が優れなくて朝からずっとゴロゴロしていたら大勢が血相を変えてかけ集まってきた。オレ様はただ気分が乗らなかっただけなので、一言言って一蹴してやった。少しイラっとしてちょっと大きな声を出しただけなのに皆血相を変えて逃げ帰ってしまった。全く皆オレ様の機嫌を損ねないように必死なのが伝わってきて正直たまに気が引ける時があるくらいだからな。しかしそれもオレ様がいかに高貴で気高くいかに優れているかの証明と思えば悪い気はしないのだ。 女だってそうだ。好きな時に好きなだけ手に入る。と言うよりもオレ様が欲しいと思い始めていると向こうから勝手にオレ様のところに来るのだ。まぁ、それは立ち代わり入れ替わりに次々とやってくるのだ。たまに気に入らないヤツや、生意気なヤツが来るがそんな時は噛み付いて追いかけ回して追い出してやるのさ。 そう言えばたまに変なことを言うヤツが来る時がある。そういうヤツはだいたい言うことが決まっていて、この間来たヤツも『お互い大変よね。でも命を狙われたり食べるものに困ったりしないだけわたし達は恵まれているわよね。』とか言っていたな。まぁ、オレ様としては何のことを言っているのかサッパリ解らん上に、変な事を言うヤツはちょくちょく来るのであまり気にしていない。     
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