干支の13

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とは言え全くの不満が無い訳ではない。それはこの世界についてのことなのだが、少し狭いと感じることが時々ある。森の端から端までは一時間くらい歩くとついてしまうのだがそこには緑色の絶壁があり、壁に沿って歩いていると三時間くらいでまた同じ所にたどり着くのだ。そしてその壁はオレ様の身長の十倍くらいの所で水色の空とつながっているのだ。まぁ、世界なんてものはその程度のものなので特に気にはしていない。さて、眠たくなって来たので一眠りするか。起きる頃にはいつものようにオレ様の大好物の肉が準備されているだろうからな…。 「皆さま、ご覧ください。こちらはベンゴロトラと言いまして、世界でも数百頭しかいない貴重な種類で、野生では環境破壊や密漁などで数十頭しか確認されていません。この巨大な特別製のケージは本来の生息地のジャングルを忠実に再現していて、貴重なこのトラにストレスを与えないようにガラスはマジックミラーになっていて、さらにこちら側からの音も全く聞こえない創りになっています。 丁重に飼われているこのオスの個体は動物園生まれで、毎年十頭以上のパパになっている世界一の優秀な雄のトラなのです。」 4.三月の兎     
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