優しい嘘哀しい嘘（ネコノボクノモノガタリ外伝）

変化

診察室に入ると、聡のおじさんがいた。

僕には、身内がいないから、代わりに来てくれたんだな。

おじさんに、会釈(えしゃく)して、おじさんの隣に、腰掛けた。

お医者さんが、少し難しい顔をしている。

おじさんは、複雑な表情をしていた。

嫌な予感がする。

それでも、僕は、知る権利がある。

お医者さんが、何枚かのレントゲン写真を

白いボードに挟みながら、まっすぐに、僕をみて

『吉田裕一郎さんの担当医の津田真一です。今から、今までしてきた、検査の結果を教えるけど、君には、保護者がいないと言うことで、代わりに、城田さんに、来てもらったけど、よかったかな？』

あっはい大丈夫です。と言うと、お医者さんは、

小さくうなずくと、レントゲン写真を、さしながら

『これ、見えるかな？この肺のところなんだけど、この部分』と言いながら、僕の顔を見ている。