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『コンビニ』
道路には、相変わらず人は歩いていないし、自分の車以外走っていなかった。
渋滞に巻き込まれているとき、僕はこんなことを考えたことがある。もし、自分以外の車がいなくなったら、夜中の道のように、気持ちよく走れるだろうなと。しかし、実際に、いつも車が走っている道に一台も車が走っていないという現実に直面すると、気持ちいいどころか不気味でしょうがなかった。
普段見ることのできない、誰もいない街というのは、見回せば見回すほど不思議だった。見回しているうちに、僕はあることに気が付いた。人は一人も見当たらないが、車は一台も見当たらないということはない。道路には一台も車は止まっていないが、路肩に路上駐車した車や、駐車場に止めてある車はいつもと変わらず、そこに存在しているのだ。
そんなことを考えているうちに、コンビニに到着した。
いつもの習慣で、財布を持ち、車を降り、鍵を閉めて店内へと入った。
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