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『店内』
「いらっしゃいませ」
なんて、いつもならば、聞こえてくる声も、今日はなかった。ガランとしている店内。人の気配は全く感じられなかった。
店内を見回す。店の風景は人が一人もいないというだけで、いつもとなんら変わりない。
「いない……」
僕は自分の手を眺める。僕はこの世界に一人取り残されてしまったのか?
力が抜け崩れそうになる自分の体を懸命に支え、パニックに陥らないよう、目をつぶって気分を落ち着かせる。
しばらく、そうしていると不自然にバクバクしていた心臓がいつものリズムを取り戻してきた。
「腹減ったな……」
冷静になると、お腹が空いてきた。朝から何も食べていないから当然だ。僕はコンビニでおにぎりを食べることにした。
いくつかおにぎりを選び、レジに向かう。
「って……払う必要もないのか……」
そのまま、外に出ようと思ったが、なぜだか、それは気が引けた。以前、コンビニでバイトをしていたのでレジの打ち方は知っている。自分でレジを打ちお金を払い、おにぎりを買って(?)車に戻った。
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