推測

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『推測Ⅰ』  おにぎりの封を開け、口に運びながら考えた。 「夢?……」  にしては、リアル過ぎる。これが夢ならば、あまりに実感がありすぎる上、長すぎる。朝から時を刻み、既に十二時を回っている。今、感じているこの孤独は確かに存在していた。夢であったとしてもこの孤独を消し去らなければおかしくなってしまいそうだ。夢なら夢でうれしいが、僕は夢だと決め付けて、片付けようとするのはやめた。  何故、自分以外誰もいないのか。本当に自分以外は誰もいないのか。そして、何故、こうなったのか。原因を突き止め、それを解決していくことに決めた。何かをしていなければ、不安に押し潰され、今にもおかしくなってしまいそうだったから。 「いつから誰もいなくなったんだ……」  考え始めると、ふと、おにぎりのパッケージが目に飛び込んできた。消費期限・午前七時。 「消費期限過ぎてるじゃん」  自分で呟くとあることに気が付いた。 「消費期限切れ……廃棄」  僕は車を降りると再び店内に駆け戻る。そして、店員が待機するスタッフルームに飛び込んだ。  あたりを見回し、店員の指導マニュアルを探す。  タイムカード、ロッカーなどを探していると、ロッカー横の棚に、白紙のタイムカードと共に置いてあった。 「廃棄、廃棄。」  コンビニでは深夜と昼間に廃棄作業が行われる。廃棄作業というのは、消費期限の迫った、商品を陳列から外し、処分する作業のことだ。  指導マニュアルを見ると、消費期限が午前七時の商品は午前0時の廃棄作業で処分されることになっている。 「午前0時。ということは……」  午前0時の作業で廃棄されるものが陳列されているということは、午前0時前には、ここで働いている人がいなくなっていたということだ。
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