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「お前ごときが俺に口出しか ボスにくっつくだけの能なしが
Yo ボスは凄えがお前は違え お前はせいぜい金魚のフンだ
勘違いした裸の王様 実力からっぽ哀れでぶざま
嫌われ者のうんこやろうは 黙って地面に埋もれてろ」
マイクを下ろした蒼汰の目の前で、Gontaがポカンと間抜け面を晒していた。
――さあ、どんなアンサーをする? できねぇだろ、お前には。
蒼汰は、自分の口の端がにんまり持ち上がっていくのを感じていた。Gontaは相変わらず両腕をダラリと垂らして黙ったままだ。お互い無言のままビートだけが流れ、Gontaのターンが終わりに近づいていく。
――勝ったな。
蒼汰は勝利を確信してきびすを返した。その背中に突然、何かがぶつかってきた。たまらずバランスを崩す。正面を取り囲んでいた連中が避けたので、蒼汰はダイレクトに地面に倒れこんだ。上から誰かが馬乗りになって、何発も殴りつけてくる。
「ちくしょう。お前、ふざけんなよ」
嗚咽の混じったその声はGontaだった。おいやめろ、と他の仲間が叫んでGontaを引き剥がす。背中が軽くなるやすぐに蒼汰は跳ね起きて、周りに寄ってきた連中を払いのけた。
「てめえこそ何しやがる。ふざけんな」
Gontaの胸ぐらを掴もうと腕を伸ばしたが、周りの仲間に押さえられた。そのまま何人も覆いかぶさり、蒼汰もGontaも羽交い締めにされた。
「おい、離せ」
蒼汰は振りほどこうと腕や体を力任せに動かした。腕を掴んでいた奴が引きずられて他の仲間にぶつかる。「何すんだよ」と新たな喧嘩が始まる。ガード下の狭い溜まり場は、無秩序な混沌と化してしまった。
「お前らみんな落ち着け」
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