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◇
「ねぇ、今日は一緒に寝ようよ」
「いいけど……俺をつぶさないでくれよ? お嬢はあんまり寝相良くないからなァ」
「ええっ! ……そんなにひどい?」
「冗談だよ」
少女は膨れながらマスコットをベッドに入れた。
今夜は少しだけ寒いから、自分以外の温かさが心地良い。
疲れもあり、睡魔はすぐにやってきた。
少女はマスコットの背をなでる。毛並みがいい。さらさらでやわらかくて、いつまででもなでていたくなる。
マスコットは目を閉じてそれを享受する。少しでも彼女の慰めになるのなら。
少女はうつらうつらしながら、マスコットに言う。
「あのね……さっきも言ったけど、やめたいなんてうそよ……。そりゃ、思ってたよりしんどいこともあるけど、でも、魔法少女になったこと、後悔はして、ないから……。あなたにも会えたしね」
「……もう寝ろ、お嬢。明日も……いやもう今日か……、学校あるんだから」
「うん……わたし……がんばる、ね……」
背をなでる手が止まる。
マスコットがちらりと見ると、少女は静かに寝息を立てていた。
「おやすみ」
彼は、少女のつかの間の眠りが優しいものであるよう願い、目を閉じた。
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