魔法少女とマスコット

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◇ 「まあ、今日現れたやつは無事倒せたわけだし、あちらさんも今夜はもう悪さしないだろ。帰ろう、な?」 「うん……おうちかえる……」 「よしよし、帰ろう帰ろう。帰って寝よう」  魔法少女はぐずぐずと鼻をすすり、マスコットを肩に乗せた。  軽やかに跳躍し、夜の町を駆け出す。  魔法少女に変身している間、身体能力は常人のそれを超える。  軽々と家々の屋根を跳び越え、少女は自宅へと帰った。  開けておいた自室の窓から、こっそり中へ入る。  家人はすでに寝静まっている。  魔法少女の変身を解くと、平凡な容姿の少女が現れた。  ふと、姿見に映ったその姿を見る。  何の取り得もない女の子。  別に魔法少女に憧れたことはない。  ただずっと、特別な何かになりたかった。  だからスカウトされたとき、二つ返事で承諾した。  あの男は言った。 「魔法少女はボランティアです社会貢献です『正義の味方』というのは往々にして割に合わないものですよ……それでもやります?」  スカウトしてきたくせに、よくもまあこちらを萎えさせるようなことばかり並べ立てたものだ。  それでも少女は頷いた。
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