幸せな時間

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

幸せな時間

そんな私でも今まだ鮮明に覚えていることがある 幼心にはきつかったのだろう ある修学旅行の新聞を作っていた時の話だ 新聞には絶対写真を貼らなきゃいけない その写真は皆がうつっているやつじゃなきゃいけなかった。 皆が出来上がった新聞を後ろの掲示板に貼っていっていて 私も出来たから貼りに行こうと思ったら 友達の(新聞の)写真の私の顔に画鋲が刺さっていた それを見た時はショックだった でも私はいつも通り笑顔を作った 何のために笑っているのかは分からなかった けどここで泣いちゃいけないっていうことだけは分かっていた。 だから見ないふりをした 私は母親にいつも子供らしくないと言われていた。 家で全く笑わないって訳でもない むしろよく笑う方だ だから私はいつもその言葉の意味が分からなかった。 大人の言う子供らしいってなんだろなって馬鹿みたいに考えたこともあった。 それでも全然分からなくて せめていい子でいようと思っていた。 それでも母親は嬉しくなさそうだった どうすれば母親はこっちを見てくれるのだろうかと 幼いながらに一生懸命悩んでいた。 それでもある日 母親が最初で最後に私と遊んでくれたことがあった。 仕事から帰ってきてしんどいはずなのにそれでも私と遊んでくれたのだ バトミントンをした 凄く長い時間したわけではなかったのだけれど 私はその数分がとても嬉しかった 初めて自分を見てくれた気がした その夜私は初めて声を出して泣いた…。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!