眠りはひとときの死

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眠りはひとときの死

眠る。 一日のやるべきことをすべて終え、心地よい疲れとともに暖かなベッドに潜りこむ。 やがて、穏やかな眠りが訪れる。 至福の時。 だけど、僕は、眠るのが怖い。 あなたは、「明晰夢」という言葉を知っているだろうか? 夢の中で、自分が夢を見ていると自覚している夢見。 僕の見る夢は「明晰夢」ではあるけれど、まるで現実の誰かの意識と同調しているかのような、もっと現実味を帯びた夢。 「明晰夢」は夢の内容を思い通りに変えられるらしいけれど、僕の場合は、夢の主人公の頭の中で、まるで映画を見るように、客観的に見て、感じるだけ。 何もできない。 大きく「PRESS」と書かれた防弾チョッキ、同じく「PRESS」と書かれた腕章。 首からは二台の大きなカメラを提げている。 カメラ機材の入っている大きく重いカメラバッグ。 今回の夢の主は、戦場カメラマンらしい。
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