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1 晩秋のすれ違い
どんよりとした空の下、あの日、初めて目にした彼の姿は、
なんともチグハグな印象を強く真帆の中に刻んだ。
それは、ハロウィンの賑わいもようやく消え、街が、クリスマスまでの
束の間の静けさを取り戻していた11月最初の水曜。
生憎の天気となったこの日は、日差しもなく肌寒さすら感じられ、
その上、少し前からわずかに小雨も落ちてきた。
そのせいで、新横浜の歩道にいるまばらな人影も、足早に屋根の下を
目指したり、急いで傘を探したりと俄かに慌ただしくなる。
しかし、
あぁ、降ってきちゃったかぁ。
のんびり持参した折り畳み傘を広げた真帆は、灰色の空に小さく視線を
投げる。
だが、周囲の焦りに煽られる気はなかった。
そもそも家を出る前に確認した天気予報で、雨は予測済みだった。
その上、アシスタントながら初めて企画から参加させてもらった
商談相手から、たった今、最高満足のお褒めの言葉をもらった上に、
来年分の予約までゲットしたばかり。
それが、自然と彼女の気持ちを鷹揚にさせる。
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