3 半歩だけの歩み寄り

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「漫画、お好きなんですか?」 「どちらかというと、僕は小説が好きなんです」 「えっ? じゃあ、あの日はコミック店で何を……?」 思わず、スルリと素朴な疑問を口にした真帆の耳に、淡い苦笑が 聞こえてくる。 「実は、その漫画オタクの親友が足を捻挫してまして。 でも、発売される新刊がどうしても欲しいというので、 買い物ついでに買って来てやるってことになって」 そして、フワリと笑ったのも明らかな幹彦の声が、再び話題を「シーズ」に 戻す。 「だけど、僕も『シーズ』だけはハマりました」 「流行りましたもんね。でも実は私、アニメしか見てないんですよ」 「えっ? じゃあ、良かったら原作お貸ししますよ。 僕、全巻持ってますから」
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