とたんに息苦しく

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とたんに息苦しく

とたんに息苦しくなった。なんだ?教室に水でも大量に注がれたのか?そう思うほどに溺れるような感覚を覚えたのだ。息ができない。苦しい! 気がつくと教室は水の底だ。俺だけが一人で水びたしの教室で溺れており、幻崎は窓辺にもたれかかって、浮いている。 俺は水中をかきながら必死で水面から顔を出し、息をしようと試みた。教室中の机と椅子が水の中でふわふわしてやがる。 必死の思いでクロールして、俺は天井の蛍光灯にタッチした!よし、水面から顔が出たぞ。俺は目をつぶって思いっきり息を吸った。 目を開けると、なんと元通りの教室だ。放課後の教室に午後の光が差し込む。 季節は初夏。どこか遠くの教室からQueenの『Killer Queen』が聴こえてくる。まさしく彼女はクイーンと言えるだろう。近づくこともままならない。 幻埼は窓辺に寄りかかり、俺の方を見てくる。ああ、なんと美しいのだろう。この美しい彼女と放課後に二人っきりという、この状況だけでも夢のようだ。溺れてしまいそうになるのも無理はない。 「幻埼さん、待っててくれ。ちょっと今、溺れそうになったんだが、大丈夫。大丈夫だから」 俺は必死に自分は大丈夫です、というアピールをした。幻崎が心なしか微笑んだように見えた。
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