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「いや、すごいな。人の想像力を刺激するなんて!」
俺はテンションが上がっていた。浮かれている俺の姿は、さも滑稽に見えたことだろう。手足を一緒に動かす操り人形のようなおかしさだったろうことは容易に想像がつく。
「今日はいい日だ。こんな近くで幻崎さんと喋れて、首すじのホクロまで見つけてしまった」
そう。彼女の長い首すじにはホクロがあったのだ。長い髪に隠れていて気付かなかったが、つい今しがた発見した。
彼女は、明らかに不機嫌そうな顔をして髪で首すじのホクロを隠した。
「あまり秘密を探ってはダメよ。さあ、今日はもうおしまい。じゃあね」
彼女はそう言って小さく手を振ると、忽然と姿を消した。瞬きする瞬間に、急に、あまりに唐突に、俺の前からいなくなったのだ。
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