挑戦しようと心に決めた

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挑戦しようと心に決めた

俺はごく平凡な男だ。佐藤という苗字も、生き方も平凡そのもので、特に人に言える面白みもないまま人生を過ごしてきた。しかし、ここに来て、俺は挑戦しようと心に決めた。 「佐藤、お前まさか彼女に話しかけるのか?平凡で何の面白みもないお前が?青春を棒にふりそうなオーラにまみれているお前が?才色兼備で神々しいまでのオーラを放つ幻崎に話しかけるというのか?」 「佐伯、言い過ぎだ。俺は確かに平凡で面白みのない男だ。しかし、だからこそ、高校生活で花開かせたいのだ。あえて、高根の花で次元が違う世界に住む幻崎に話しかける。まだ誰もちゃんとしゃべったことがないという噂じゃないか。俺はあえて挑むぞ」 そう言った。俺はそう言って自分を奮い立たせたのだ。 放課後、授業が終わると幻崎はいつの間にか帰ってしまう。だから俺は授業中から幻崎の動きを見ていた。俺は廊下側で前から3番目の席、幻崎は窓際で前から2番目の席。 俺の席からは幻埼が見える。だが、何と言うのか、授業中に彼女を見ようとするもまぶしくて見えないのだ。太陽の光が妙に明るく感じる。窓から吹く風が心地よくカーテンを揺らすのだが、そのカーテンのゆらめきもオーロラのように見える。一体どういうことだ。 授業が終わり、皆が席を立つ中、俺は幻埼から目を離さないように気をつけた。幻崎は鞄からヘッドフォンを取り出して装着した。 噂どおり、幻崎のヘッドフォンには風車がついている。なんだあの風車は?邪魔じゃないのか。そもそもちゃんと音楽が聴こえるのか? よし、これを聞こう。ヘッドフォンをとっかかりに話しかけてやるんだ。俺は席を立つと幻埼のもとに向かった。
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