強烈にまぶしく

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強烈にまぶしく

よし、彼女まであと5メートルほどまで近づいたぞ。 しかし、今度は窓からの光が強烈にまぶしくなってきた。彼女の後光か?彼女のオーラなのか?この光はなんだ、いくら5月が太陽光がまぶしくなる季節とはいえ、まぶしすぎる! だが俺は腕で視界をおおいながらも、じりじりと彼女に近づいていった。そうだ、彼女から目をはなしてはいけない。憧れから目をそむけてはいけないのだ、たとえ困難な数メートルであっても。 とたんに窓から風が吹いてきた。強い風だ。だが、俺は歩くのをやめない。 彼女が窓の外をながめた。長い首筋がきれいに見える。ヘッドフォンについた風車が風で回転する。その回転がどんどん速くなっていく。なんて速さだ!ぐるぐるぐるぐる、オーロラのように輝くカーテンの横で、彼女の風車が激しく回る! そして突風が来た!すごい風だ、飛ばされそうだ。教室中の机や椅子が風の力でどんどん押し流されている!なんて強い風だ!なぜ彼女は平気な顔をして窓の外を眺めていられるんだ?この風は何だ? 俺は突風に流されそうになりながらも、じりじりと彼女に近づいていった。負けない、風に吹かれても俺は負けない。 風は唐突にやんだ。気がつくと、周囲の机と椅子も元通りだ。やはり幻覚なのか。俺が、俺の頭がおかしくなっているのか。
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