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「ん? じゃあ、どういう意味だね」
「社長の座も譲られて、仕事をお辞めになられた方が良いということです」
鬼の形相で勢い良く立ち上がる男。腰掛けていた椅子も、音を立てて倒れる。
そして間髪入れずにぶちまけてくる、怒りの言葉。
「引退しろだと!? ふざけるな。わしの野望は、まだまだこれからだ。貴様のような若造に言われたくはないわ!」
若造か……、それは認めよう。何しろまだ二十一歳だ。
だが、そんな恫喝で引き下がるつもりはない。
「若造の言葉だからって軽くみると、きっと後悔しますよ」
「なめた口を叩きおって。貴様にわしの何がわかるというんだ!」
ずっと見下ろされていたが、そろそろ辛抱も限界。
こちらもおもむろに立ち上がると、今度は逆に男を見下ろす。
そして顔を近づけ、威圧的にゆっくりと始める根拠の説明。
「だから、言ったでしょう? あなたの過去を見ますよ、と。あなたはこれまでに、随分とあくどいことをやってきたようだ」
「な、何を証拠に、そんなふざけたことを……」
「随分と搾り取ってきたんでしょう? それも、一回や二回じゃなさそうですしね。とことんまで追い詰められてしまった人もいたようだ。きっと、恨んでるでしょうね」
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