第8話 ギャンブル好きな男

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 一気に脅かして、揺さぶってやる。 「川上さんに恨まれてますよ、あなた」  ――ガタッ!  突然立ち上がる男。  真っ青な顔色。  小刻みに震える身体。  何か言葉を発しようとしている、半開きの口。  しかしそれも、息が漏れるばかりで声にならない様子。 「落ち着いて。まずは、お座りください」 「い、いや……。しかし……」  男は座り直したものの、相変わらず顔色は優れず、目も虚ろだ。  男の記憶の中に『川上唯子の父親』がいたから、鎌をかけて名前を出してみたのだが、これほどまでの動揺ぶりは尋常じゃない。付け入れそうな、がありそうだ。  となれば、攻めの一手。さらに言葉を畳み掛ける。 「もう他界している人物の恨みが原因とか、信じられませんか?」  ダメ押しの一言は、男に再び動揺をもたらす。  真っ青な顔はさらに覇気をなくし、もはや死者の顔色。  拝むように、必死に合わせる両手。  そしてそのまま頭を下げて、テーブルにひれ伏す。  折り畳みのテーブルは、小道具を並べるため貧弱なもの。  壊れないかと不安になりつつ、倒れないように慌てて両手で押さえつけた。 「俺が悪かった。許してくれ……。許してくれ……」  ひたすらに男は謝罪を繰り返す。     
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