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「これは代金だからな。誤解するんじゃないぞ!」
ひと際大きな声で言い訳を吠えると、男は足早にこの場を立ち去る。
やれやれと苦笑いしながら拾い上げる、紙くずのように丸められた札。
額にぶつけられたのはちょっと癇に障ったが、顔をしわくちゃにした福沢諭吉とのご対面に、思わず口笛。
この街との相性は文句なし。
なにしろ、初っ端から上質な獲物とのご対面だ。思わず胸が躍る。
この場でけりをつけるのはもったいない。周到に調査して、確実な弱みを掴めば、まとまった金ともご対面できるに違いない。
もう声も届かないほどに遠ざかった男の背中に、感謝の言葉を投げる。
「――まいどあり。次回お会いする時をお楽しみに……」
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