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「うぜえから早く消えろよ」
不機嫌そうな顔でこちらを睨んでいるのは、この女を追っていた男の二人組。
制服を着崩し、パーマをかけた、古い学園ドラマから抜け出てきたような、悪そうな感じの高校生だ。
一方追われていた女の方は、涙を浮かべながら顔を青ざめさせている。
歳は二十歳ぐらいで、目はパッチリと大きい、可愛いタイプの女。雰囲気は良く言えば穏やかそうな、悪く言えばどんくさい感じ。
こんな奴らに関わると面倒なのは間違いない。とっとと立ち去るに限る。
ところが背中に回りこんだ女は、俺の身体に身を隠す。盾代わりのつもりか。
振りほどこうと女の手を掴むと、今度は二人組から怒鳴りつけられた。
「あん? 正義のヒーロー気取りかよ! かっこつけるのも大概にしろよ」
思わず漏れるため息。
完全に勘違いされている。巻き込まれたって奴だ。
仕方なく、弾き飛ばされたサングラスを拾い上げ、二人の男の目を順番に睨み返す。
「それで? 何を必死に鬼ごっこしてたんだ? いい歳して」
「うるせえな。おめえには関係ねえんだよ」
煽り言葉に触発されて、表情を険しくする二人。単純だ。
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