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ドアの向こうに立って居たのは、うちの親衛隊の副隊長だ。
副隊長は焦った表情で部屋に入って来るとこちらを見て、マジマジと目を見開くと、しばらくして頭と肩をがっくり落とし、やがてワナワナと身体を震わせ始めた。
「……どうせこんなことだろうと思ってましたけどね」
地の底から響くような剣呑そのものの声。あれ?
「うちの隊員から、隊長がGクラスのリーダーに連れて行かれたと聞いて、俺がどんな気持ちになったか……」
あれ? あれ? なんでしょう、この空気。知らず腰が退けるんですけど。
「風紀にも生徒会にも頼めないから、他のツテ辿って苦労して来たってのに! なにあんた、呑気にお茶してんだよ!?」
そう言って、ズカズカと俺の方まで来る。目の前で仁王立ちになった副隊長の怖いことと言ったら!!
え、え~っと。
思わず目を泳がせる。
片手にフォーク、反対側の手にはケーキの載った皿。これは申し開き不可能……?
「……副隊長、顔が怖いよ」
「この顔は生まれつきです」
「瞳が赤いよ」
「あんたを見てるとたまにそうなるみたいですね」
まだそんなに見たことないんだが、副隊長は怒ると瞳が赤くなる。そんで身体能力が上がるらしい。つまりこれって相当怒ってるってことで、俺と居るとたまになるってことは……。
「え~っと……」
「お話は部屋に帰ってからゆ~っくり、伺いましょうか」
ぼきぼきと指鳴らしながら言わないで!
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