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一つにまとめ、背中に垂らしていた三つ編み目掛けて登って来た子猫は、そのまま髪の根元を、ガブガブ、ペシペシ。
パンチ力は無いが、鋭い爪がサックサク~。
遠慮なんぞありません。猫じゃらしで興奮していたからか、肩の上でも跳ねる、飛ぶ。
注意されていた通り、まだ引っ込められないとおぼしき爪が後頭部に、肩に背中に突き刺さる。
男性客も店員二人も金縛り状態。当然私も子猫の爪の鋭さを痛感しつつ金縛り。
……痛いよう。
……しかし、動けん。振り落とす選択は無しだ。だが、背中のこれをどうしろと?
猫好きさんにも店員にもされた注意が、三毛猫を見ながら頭の中をグールグル。
大声ダメ、急に動くのもダメ、子猫は骨が折れやすい。
わああん、打つ手ない。と思う間に三毛猫は撫でてくれないのかと去っていく。
まあその瞬間、人間に掛けられていた自主的(?)金縛りは解けましたが。
「すいませんっ」
ひっそり目の声で叫びながら私の背中から子猫を引っぺがし、正しい形で抱えて元の位置まで引き下がる男性客。
顔を向けると、引きつる顔で愛想笑いを浮かべる店員二人と男性客が並んでいる。
仲良いなお前等と思っても文句は出せない。悪意はどこにも所在しないのだから。
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