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時計を確認すると、そろそろ制限時間が終わる頃。
そっと喫茶ルームへと扉を開けて移動し始めましたが、室内を流れる何とも気不味い雰囲気が気になる。
……居たたまれない。原因は私じゃないが居たたまれないよ。
どうしようかと素早く思案する中、悪気無い顔で抱えられる子猫を見て決心。
……君がこれで遊べなくなるのも可哀想だよね。
そう思ったからこそ、隔てとなるガラス戸を締め切る間際に告げましたとも。
「そして時は止まる」
引きつり笑顔で(貴方が真因だもんね)子猫を抱えていた男性客は大口開けて笑い掛け、大声は禁忌なので咄嗟に天上向いて瀕死の金魚の如く口をパクパク開閉。
呼吸を止めているのがみるみる紅くなる顔から分かります。
女性店員二人の内一人は「ぐふっ」と小さく吹いて腹を抱え、ゆっくりゆっくりと沈む様にしゃがみ込み、それ以上声を出さない為に全身に力を込めているのか細かく震えている。
一人だけ元ネタが分からないと見える店員が、不審な動きを取る二人を交互に見ていました。
嫌な雰囲気は無くなったので、残る珈琲を一気飲みし、ちゃっと店舗を出ましたよ。
不測の事態でも猫を第一に考える人達。
とても愛され、大切にされている猫達だと感心します。
おわり
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