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小さい物の怪を拾った。この物の怪の生態はわからぬが、群れからはぐれたのかもしれない。おおよそひとりでは生きていけなさそうな、ちみっちゃくて弱っちい、幼い物の怪だった。
その物の怪を拾ったのに、そんなに深い理由はない。なんとなく、面白そうだと思ったのだ。使えなさそうならば、さくっと捨てるつもりだった。
家に連れ帰り、身なりを整える。怯える物の怪に名を問うと、特にないという。仕方が無いので、カエデと呼ぶことにした。カエデの下に、居たからだ。
カエデは人の記憶を喰らう物の怪だという。
「人間以外でもいいのか?」
「記憶なら、なんでも。動物でも。美味しくないけど」
「物の怪でも?」
少し愉快になって唇を歪ませながら問うと、カエデは少し驚いた顔をしながらも頷いた。
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